遺言作成がパソコンやスマホでも可能になりそうです

昨日、自筆証書遺言について「法務省は、現在の手書きに加え、パソコンやスマホなどを使った作成を認める方針で、民法改正に向けた有識者会議を設置する予定」というニュースがありました。

自筆証書遺言はもともと全文自筆が要件だったのですが、2019年に財産目録に関しては自筆以外も認める法改正がなされました。
今回の方針はその要件をさらに緩和するもので、アナログからデジタルへの大きな方針転換となりそうです。

 

この新たな方針は自筆で遺言書を書くのが難しい高齢者、病床にある方、身体的ハンデを持つ方などにとっては朗報です。

特に、僕も経験があるのですが、病床で、しっかり話すことも字を書くことも難しい方が、遺言で最後の意思を伝えることができれば、遺された家族がどれほど助かるか、というケースは少なくないと思います。たとえば「全財産を妻に渡す」だけでも救われる家族がどれほどいるか。

 

ただ、第三者が代筆したりパソコンやスマホで作成した遺言を、相続開始後に「本人の意思だ」とどのように証明するのか、悪意のある改ざんをどのように防ぐのかが大きな課題。

相当な工夫をしないと無用な争いを生む結果になるのは目に見えています。だからといって複雑すぎる仕組みを作ると簡易な遺言作成方法というメリットが失われてしまいます。

 

今のところビデオ撮影とか電子署名などのアイデアがでているそうですが、果たしてリスクをどれぐらい軽減できるか、高齢者世代にどれぐらい訴求できるか。

僕も遺言作成の専門家として、今後の有識者会議の議論を注目していきたいです。

 

今日の終活

現時点では、自筆できない人の遺言は、事実上、公正証書遺言一択なのですが、時間も費用もかかるため、様々な事情で遺言を書けていない方も多いと思います。

まだ有識者会議の段階ですので、この改正が今後どのように動くのかは未知数ですが、これまで様々な事情で遺言を諦めていた方々にメリットのある改正にしてくれることを願います。